包丁の砥石は種類で選ぶ|粗砥・中砥・仕上げ砥の違いと番手

ホームセンターの砥石売り場には、同じ大きさの箱が#220から#6000まで番号違いで並んでいます。この数字は砥石に含まれる砥粒(とりゅう)の細かさを表す番手(ばんて)で、数字が大きいほど粒が細かく、削る力は弱まって刃の表面はなめらかに仕上がります。
番手が大きいほど上等だと読んでしまうと、選ぶものを外します。
刃が欠けた包丁に#6000を当てても形は戻らず、反対に#220だけで研ぎ上げた刃先には細かいギザギザが残ります。
家庭で使う1枚をどう選ぶかは、包丁の今の状態と刃の素材から決まります。
本記事では、番手の読み方・荒砥と中砥と仕上げ砥の使い分け・手持ちの包丁から1枚を決める手順を解説します。

キッチン小物ラボ編集部
キッチン小物ラボは、箸やカトラリー、水筒、弁当箱、鍋、包丁、お茶まわりの道具を扱う専門メディアです。扱う範囲は「コンセントを挿さないもの」に絞り、メーカーが公表している寸法・素材・食洗機やIHの対応可否を突き合わせて、サイズの選び分けと買い替えの判断材料を整理しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
包丁用の砥石の番手は、砥粒の細かさを表す数字です
番手は、砥石に練り込まれた砥粒をふるい分けたときの大きさの区分で、日本工業規格の粒度番号がもとになっています。
もともとはふるいの目の細かさに由来する数字なので、#220より#1000のほうが粒は小さく、#1000より#6000のほうがさらに小さい、という関係が全域で成り立ちます。
表記は「#1000」「1000番」「粒度1000」のいずれかで、意味は同じです。
粒が細かくなるほど、一度の往復で削り取る金属の量は減ります。
その代わり刃先に残る削り跡が浅くなり、断面が平らに近づくので、切ったときの抵抗が小さくなります。
荒い番手は削る力、細かい番手は仕上がりの滑らかさ、と役割がはっきり分かれているわけです。
注意したいのは、番手が表しているのは粒の細かさだけだという点です。
砥石の硬さ、減りにくさ、水の吸い方は番手には含まれていないので、同じ#1000でも使い心地はメーカーごとに違います。
ここを混同すると、番手を合わせたのに思ったように削れないという事態になります。
包丁を研ぐ場面で分かれる、砥石の3タイプ
番手の帯域は、荒砥(あらと)・中砥(なかと)・仕上げ砥(しあげと)の3タイプに分けて呼ばれます。境目は厳密な規格ではなく、おおよその慣習です。
| タイプ | 番手の目安 | 役割 | 必要になる人 |
|---|---|---|---|
| 荒砥 | #80〜#400 | 刃こぼれを削り落とし、刃先の形を作り直す | 刃が欠けた、刃先が丸く潰れた包丁を直したい人 |
| 中砥 | #800〜#2000 | 切れ味を戻す基本の研ぎ。刃先の線を作る | 家庭で月に1回程度研ぐ人のほぼ全員 |
| 仕上げ砥 | #3000〜#8000 | 中砥の削り跡を消し、刃先を整える | 刺身を引く、トマトの皮を薄く切るなど切り口を求める人 |
1枚だけ買うなら中砥
家庭の包丁が切れなくなる原因のほとんどは、刃先が目に見えない範囲で丸まることです。
これは中砥の帯域で戻せるため、最初の1枚は#1000前後を選んでおけば足ります。
荒砥は欠けを直すときだけ、仕上げ砥は中砥の仕上がりに不満が出てから足す順番で困りません。
研ぐ角度や往復の回数は砥石を使った研ぎ方の手順で解説しています。
なお、パン切り包丁のような波刃は平らな砥石に当てられません。刃の形そのものが違うので、波刃を傷めない研ぎ方で扱っている方法を確認してください。
結合材と天然砥石|砥石の種類をもう一段細かく分けると
番手が同じでも、砥粒を固めている結合材が違えば別の道具になります。
人造砥石で多いのは、ガラス質で焼き固めたビトリファイド、マグネシアセメントで固めたマグネシア、樹脂で固めたレジノイドの3タイプです。
硬く焼き固めたものは減りにくい反面、削る速さは穏やかになり、柔らかめのものは砥粒が崩れながら新しい粒が出てくるぶん速く削れて早く減ります。
水に浸ける時間が違う
使う前に5分から15分ほど水に沈めておくタイプと、表面に水をかけるだけで使えるタイプがあります。
浸ける時間は製品ごとに指定されているので、箱や説明書の記載どおりにしてください。
毎日の洗い物の合間に短時間だけ研ぐなら、浸水が不要なものを選んだほうが台所に出したままにできます。
天然砥石には番手が書かれていないことが多い
天然砥石は採れた層によって粒の細かさも硬さも変わるため、#で表記されていない商品が珍しくありません。人造砥石の番手と1対1では対応しないので、最初の1枚を番手で選びたい段階では、表記のある人造砥石のほうが判断しやすいでしょう。
手持ちの包丁から1枚を決める手順
選ぶ順番は、刃の素材を確かめてから、刃の状態を見る、の2段階です。素材を先に見るのは、砥石が使えるかどうかがここで決まるためです。
ステンレスと鋼の包丁は、一般的な人造砥石で研げます。
ステンレスは鋼に比べて粘りがあり、研いだときに出る金属のめくれ(返り)が取れにくいので、中砥に加えて仕上げ砥があると処理しやすくなります。
番手の目安はステンレス包丁に向く番手と角度で解説しています。
セラミック包丁は硬度が高く、一般的な砥石ではほとんど削れません。
セラミック包丁に使える専用砥石を確認してから買ってください。
素材が分かったら刃の状態を見ます。
光にかざして刃先に欠けが見えるなら荒砥が要ります。
欠けはなく切れ味だけが落ちているなら中砥1枚で足ります。
出刃や刺身包丁のような片刃は、表と裏で研ぎ方そのものが変わるので、片刃の裏押しと返りの見分け方も先に読んでおくと手順を間違えません。
同じ#1000でも削れ方と寸法が違う理由
粒度の基準が1つではない
粒度番号は日本工業規格のほかにも欧州や米国の規格があり、海外メーカーの砥石では同じ数字でも実際の粒径が一致しません。
輸入品の#1000が国産の#1000より粗く感じられることがあるのはこのためです。
国産品と輸入品をまたいで2枚目を足すときは、数字だけで前後関係を決めず、荒砥・中砥・仕上げ砥のどの帯域に位置づけられているかで判断してください。
砥石の寸法は刃渡りから決める
砥石のサイズは、研ぎやすさに直結します。
砥面の長さが包丁の刃渡りより短いと、刃を斜めに当てなければ全長を当てられず、角度が安定しません。
三徳包丁や牛刀を研ぐなら、砥面の長さに余裕があるものを選んでください。
厚みは寿命に関わります。
研ぐほど中央がくぼむので、平らに削り直す面直し(つらなおし)を繰り返せる厚みがあるかどうかで、使える期間が変わります。
番手が合わないと起きることと、表記の確認場所
番手を外したときの症状は、どちらに外したかで逆になります。
仕上げ砥しか持たずに欠けた刃を研ぐと、削れる量が足りないので欠けが残ったまま刃先だけが鋭くなり、使ううちに同じ場所からまた欠けます。
反対に荒砥で研ぎ上げると、刃先に深い削り跡が残って切り口が毛羽立ち、紙を切ると引っかかる手応えになります。
寸法を外した場合は、研げないわけではないものの、角度が毎回ずれて片側だけ削れる結果になりがちです。
表記は、箱の側面か商品ページの仕様欄に「粒度」「#」の形で書かれています。
あわせて確認したいのは、砥面のサイズ(長さ・幅)、厚み、使用前の浸水の要否、面直し用砥石が別売りかどうかの4点です。
この4つが書かれていない商品ページなら、メーカーの製品情報ページまでたどって確かめてから買うほうが確実です。
よくある質問
包丁1本につき砥石は何枚必要ですか
家庭用の包丁を切れる状態に保つだけなら、#1000前後の中砥1枚で足ります。
両面で番手が違う組み合わせ砥石なら1枚で荒砥と中砥、または中砥と仕上げ砥をまかなえます。
欠けを直す機会がほとんどないなら、荒砥を最初から買う必要はありません。
番手が書かれていない古い砥石はどう判断すればいいですか
表記が消えている砥石の番手を、見た目から正確に言い当てることはできません。
表面を指でなでて、ざらつきがはっきり分かるなら荒い帯域、さらさらして粒が感じ取れないなら細かい帯域、という程度の見当はつきます。
包丁の刃先を整える用途で使うかどうかは、要らない金属片などで試し研ぎをして削れ方を見てから決めてください。
砥石と研ぎ器はどちらを選べばいいですか
角度を自分で保つ練習をする時間があるなら砥石、置き場所も手間も最小にしたいなら研ぎ器という分かれ方になります。研ぎ器は刃の形や素材によって使えないものがあるので、研ぎ器のタイプ別の違いと使い分けで対応範囲を確認してから選んでください。
まとめ
砥石の番手は砥粒の細かさだけを表す数字で、硬さや減り方までは含まれていません。
家庭の包丁なら中砥#1000前後が1枚あれば切れ味は戻り、荒砥は欠けを直すとき、仕上げ砥は切り口に不満が出てから足す順番で困らないはずの構成になります。
刃の素材がセラミックの場合だけは一般的な砥石では削れないので、先に素材を確かめてください。
ぜひ本記事の3タイプの番手表を参考に、手持ちの包丁の素材と刃の状態から1枚目を選んでみてください。





